最近のツイッターの投稿にもありましたが、初代 ARTISAN の剥がれ問題。
まことに申し訳ありませんでした。初代でも初期生産品だと思います。後期生産品は反応性ホットメルトでラミネートしていますので、剥がれはありません。
ラミネートとは、一言でいえば貼り合わせです。
この貼り合せが簡単ではない。とくに、物性の違う物を貼り合せるのは難しい。
例えば、各種の接着剤を思い起こしてください。金属用、木工用、紙用など様々です。
これらを指定した物以外に使用しても貼り合せはうまくいきません。
ホットメルトの場合は、熱との関係性が生じます。熱により、元々の物性に変化が生じることが考えられます。熱膨張率の違いによる影響もあります。
例えば、ナイロンは熱に弱い。ポリエステルは比較的強い。
樹脂と、ラバーでは熱膨張率が違うので温度が下がりホットメルトが硬化したときの状態に差異が生じ歪む。
加熱された状態でローラーを通過することにより、表面の性状が変化する。これも困ります。ことに布の場合は基の設計がだいなしになりかねません。
最も安全なのが粘着系による貼り合せ。しかし、これとても課題が無いわけではありません。
更に、布の場合はその厚みがポイントになります。ホットメルトにしろ、粘着にしろ、その膜厚により布の特性が変化します。厚すぎると布の表面に滲み出します。また、いわゆる糊付けが平坦でなかった場合は滑走面が平滑ではなくなってしまいます。
マウスパッドを構成する三層の素材の物性を損なうことなく貼り合せるのは、とても難しいのです。ゲーム用途の場合、激しい使用にも耐えられるようにしなければなりません。
貼り合せ強度を高くするほどに、素材に影響を与えがちになります。
ARTISAN では、素材により、粘着系、ホットメルト、反応性ホットメルトの3種類を使い分けています。最も望ましい方法は反応性ホットメルト。溶剤を一切使用しないので環境に優しいからです。しかし、制御が難しいのと、高コストなのが課題となります。それに硬化に一週間近くの期間を要するので、機動的な生産が難しい。
ラミネートは滑走面の特性に影響を与えないようにすることが大きなポイントです。
安定したエイミングの実現において、とても重要な工程です。
マウスパッドの場所により、ヒットしたり、ヒットしなかったりというようなことが生じないようにしなければなりません。粗雑な造りの製品では、必ずこういった状況が生じているはずです。
ヒットする範囲が厳格なゲームであればあるほど、このことが重要となります。
性能をとるか、耐久性をとるかは悩ましい課題。勝つための道具であると考えた時、やはり性能を優先するべきだと考えます。もちろん、バランスは考慮することはいうまでもありません。
ラミネート。優れたマウスパッドということであれば、これは相当に難しい加工となります。
なかなか、これで完璧とはなりません。これからも改善を続けていきます。
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