思わぬことで反りが発生し、ご迷惑をおかけした飛燕。
素材メーカーと協力し、その大きな要因を取り除く処理を行いました。
前処理と製造工程の変更により、反りの発生のリスクを限りなくゼロにしました。
なぜ、ゼロではないのか?
反りには三種類あります。
材料の収縮によるものと、貼り合せ加工によるものが考えられます。そして材料の巻き癖。
材料の収縮については、強制収縮 ( 強制的に収縮させ、以後、収縮させない)と、断裁後の養生により防止が可能。
中間層の巻きを解き、断裁した後に、フラットな状態で熱により強制収縮 ( 最大収縮率の分、収縮させる ) させます。これにより巻き癖も解消されます。
ゴムのように伸縮するものについては、巻いたり、垂らしたりすると若干伸びます。
これが時間の経過とともに自然収縮します。これは避けられません。
そこで、巻きを解き、断裁した後は、数日間放置し自然収縮が収まるのを待ちます。これが養生です。
貼り合せによる反りとは?
貼り合せ加工時にローラー状のもので圧力を加えます。
この時に、圧力により材料が若干伸びます。その状態で貼り合せ、固定されることにより、反りが生じることがあります。
材料により伸びる率が違います。同じ率で伸びてくれれば問題ありませんが、違いがあることにより、長くなった材料と反対側に反ります。
伸縮性のある複合材の貼り合せ ( 層が多くなるほど )の難しさであり、不可避です。
結果的に、100% フラットは不可能。貼り合せによる反りは若干、生じます。
問題は、その程度です。
自重の重たい材料の場合、もしくは厚い材料の場合は目立ちません。
単一材料の場合も反りは生じ難い。その逆の場合は目立ちます。
加工の工夫により目立たなく( わずかな反り ) できます。
飛燕の場合、最後に貼り合せる防滑用発泡ゴムが課題となります。
工程は増えますが、限りなくゼロになるように製造工程を変更しました。
ただし、100% フラットにはなりません。しかし、自重により使用時にはフラットになる程度の反りにとどめています。
ちなみに、他社の製品でも自重の軽い ( 薄い )製品は軽く反っています。
この反りを完全に防ぐ方法はあります。前工程で巻き癖を解消し、枚葉で貼る方法です。
タッチパネルはこれにより貼り合せています。専用の製造装置もあります。
マウスパッドをこれで製造することもできますが、コストが跳ね上がってしまいます。
実用において問題の無いように反りを留めるのが現実的な解。
飛燕 Rev. 2 は、量産試作を終了。
自然収縮は完全に防止していますので、時間の経過による反りも生じません。湿度 20% においても問題はありません。
時間経過による反りは限りなく 100% 近く生じません。
環境の変化による影響はエラストマーの宿命。これについては飛燕のみならず、全てのエラストマー系のマウスパッドに言えることです。
ようやく改良版の飛燕をリリースできます。
貼り合せについては、もう一つ大きな変更があります。熱によるフィルムでの貼り合せから、粘着系の貼り合せに変更されました。
その結果、より柔軟性が増し、ストッピング性能が向上しています。また、貼り合せ強度も向上しています。テーストは、QUAKECON モデルとほぼ同じです。
L サイズについては、飛燕 VE 同様に、縦方向が 330 mm に拡張されました。貼り合せ強度が向上したのでステッチ加工は施しません。
2月中旬の発売を予定しています。
製造工程の変更により、現時点においては、今までのように量産が出来難くなっています。
一時的に供給がタイトになりますことを、このブログをお読みになってる方に予めお知らせしておきます。